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2017年6月30日 (金)

認知症予防セミナーin金沢③

ご訪問頂きありがとうございます♪

管理人のkuririnです(^^)/

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はじめに、、、

我が家のみーちゃん(姑/88歳)は2007年にレビー小体型認知症と診断され2014年6月から要介護5になりました。初期症状や現在に至る経緯は「お義母さんのお世話」「レビー小体病に思う事」「レビー小体型認知症の初期症状など」カテゴリで綴っております。

このブログは、根治しない進行性のレビー小体型認知症に対し、適切な治療とケア次第で、普通に暮らせる時間が少しでも長くなるのではないか・・・と、ささやかな願いを抱きながら、レビー小体病に手探りで向き合う若輩・管理人の日々のアレコレを(息抜きもいっぱい・笑)綴っています。

(発症時と改善後の表情比較画像はこちらこちらをご覧下さい) 

 

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前記事に続き、「認知症予防セミナー」第二部を記録します。

 

第二部の講師は、金沢大学名誉教授の米田幸雄先生です。

米田先生とお会いするのは今般3度目になります。

 

前回お目にかかったのは昨年9月で、私が主宰するレビー小体型認知症介護家族おしゃべり会「関西きらきら組」にお越し頂き、ご講演頂いて以来になります。

 

以降、国際学会での発表などが相次ぎ多忙を極めておられたようですが、当時の記事で私は以下の記述をしていました。

 

『進行性の脳内変性疾患であるレビー小体病は症状が実に多彩な訳ですが、今後、どのタイプで、どんな症状に良い兆しがみられたか、ご本人および家族の「経験」としてではありますが、ご報告できる日が来るといいなと願っています。』

 

と。

 

そして、米田先生が当初から示唆されていた通り、半年以上を過ぎたいま、きらきら組メンバーにも嬉しいご様子がみられることとなり、吉報を携え米田先生に直接ご報告が叶いました。

 

先生が40年以上の歳月をかけられた研究が、レビー小体型認知症と診断を受けたご本人と家族に笑顔と希望を届けている現実があります。

 

実際に「嬉しい結果」が確認出来ていることを知る1人として、改めて先生のご講演を拝聴する機会に恵まれたことで一層理解が深まり、納得もできました。
その詳細は連載終盤で触れたいと思います。

 

ご講演は「テアニン」というアミノ酸が脳内でどのような役割を有するか、また、それがなぜ「認知症予防」と関係があるのかを、とても丁寧にご解説下さいました。

 

そして、これを理解するために前半は、脳のつくりや機能、神経細胞や脳内神経伝達物質などなど、ごくごく基本的な解説からはじまり、また、第一部の講演とリンクさせながら「認知症」と呼ばれる状態は脳内で何が起きているのか、という点を大変丁寧にご解説下さり、後半の「テアニン」にはどんな機能があり、それが私達の暮しにどう役立つと期待されるのか・・・という、息を飲むほど興味深い研究の話をお伺いできました。

 

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【第二部/認知症予防とテアニンの機能性】 

 

ご講演開始前、スタンバイされる米田先生。
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(画像掲載に際しては直接ご了解を頂きました)

 

講演冒頭、自己紹介を兼ね40年間アミノ酸の研究を続けて来られたお話からスタート。

 

私達の身体を作っているのは「たんぱく質」で、その素は「アミノ酸」であり、これを食事から摂ることで健康が保たれていることから、アミノ酸はとても大切な成分である。

 

そして、そのアミノ酸が脳内では、神経の情報を運ぶなど、特別で重要な働きをしており、そうした研究を40年間続けてきた中で、緑茶に重要なアミノ酸が含まれていることを発見。それが今回のテーマである「テアニン」と言うアミノ酸です。

 

「テアニン」は、高級緑茶(玉露・抹茶)で比較的濃度が高く2~3%含有し、番茶にはほとんど含まれておらず、ウーロン茶や紅茶では全くと言ってよいほど「テアニン」は存在しない。

 

「テアニン」を解説する前に、まず「脳とはどんなものか」から話が始まりました。

 

脳の形と働き

▽脳のかたち

脳にはたくさんのシワがあります。例えばネズミの脳にこの様なシワはありません。「シワがある」ということは「表面積が広い」ことを意味し、そこに多くの細胞を密集させることができる訳です。

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図は脳の断面です。上は大脳皮質と呼ばれるところで、そこから深部へ入りますと視床下部や間脳と呼ばれるところになります。ここは、我々の食欲や体温の調節など動物的な反応を調節するために欠かせない場所です。

 

一方、表面の大脳皮質は人間らしい思考のために必要なものであり、小脳は運動(細かな動き)を、脳幹は更に基本的なこと(植物機能と呼ばれる)呼吸・心臓を動かす・血管の収縮などをそれぞれ担っている。

 

▽脳の働き

大脳皮質の表面は、大きく4つ、前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉、に分けて考えることができます。

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前頭葉は、ヒトにおいてもっとも高度な活動をしているところです。様々な情報はすべて前頭葉に集まり、判断や過去の記憶と照合し、命令を出すので、脳の司令塔がここにあると考えて良い。

(前記事、第一部の榎本氏のご講演で「認知症悪化の要因」部分の詳細な解説になるかと思います。)

側頭葉には言語中枢があり、言葉を話すにはここの機能がしっかりと働いていることが肝要になります。また、言語中枢は左脳に密集しており、右半身の運動は左脳を発達させることが知られています。

後頭葉は、目で見たものを過去の記憶と照合し、処理する場所になる。

頭頂葉は、脳全体を機能的に働かせる役割がある。

このように、脳の表面では大きく4つに分けてそれぞれの機能があり、140億個の神経細胞が存在すると考えられています。

我々が大脳皮質に持つ140億個という神経細胞の数は実は非常に大事で、これが全部使われている訳ではなく、実際に必要とされているのは1/6くらいと言われています。

つまり、5/6は生涯使われることなく終わり、ヒトはもともと大過剰の神経細胞を持っていると言えます。

そして、加齢と共に神経細胞は少しずつ死にますが、それでも問題なく生きられるように創られているのがヒトの脳です。

一説に拠ると、二十歳を超えると1日10万個の神経細胞が壊れて行く、と言われています。

1年で3650万個。
10年で3億6500万個。
100年で36億5千万個。

というスピードで脳の神経細胞は壊れて行きますが(120歳になったら36億5千万個を失うことになるが)もともと140億個あり、1/6(23億4000万個)あればヒトは人間らしく生きられる、と考えられています。

しかし、様々な病気が原因で、神経細胞の壊れるスピードが異常に加速した場合はこの限りではなく、(例えば、本来1日10万個の神経細胞死が1日100万個となれば、次第に日常生活に支障を来すこととなり疾患に繋がる)それが「認知症」に代表される状態であると言える。

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◆神経細胞の働き

脳の中にある140億個の神経細胞は、大きくけて4種類に分け考えることができます。

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1、ニューロンとは、神経細胞のこと。
ヒトの脳をつくる主役で、この主役を支える細胞が3つ存在して主役の回りを保護している。

2、オリゴデンドロサイト

3、アストロサイト
神経細胞を情報を交換することで、お互いをサポートし合っています。

4、ミクログリア
脳の状態を常に見張り、敵を見つけたら取込み攻撃して、脳を修復するなど、脳を守るための細胞。ただ、ミクログリアが暴走すると普通の神経細胞を壊してしまうことがある。

 

このように、基本的にヒトの脳の情報はニューロン(神経細胞)が伝えています。考えたり、記憶したりするのは全て神経細胞の働きだと言えますし、その働きを助ける細胞が3種類存在している、ということです。

 

◆神経ネットワークの形成

 

ニューロンは、細長い1本の情報をもっています。ヒトは生まれた時、ニューロンは大量に存在していますが、成長と共に減少します。

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▽どのように減少するか?

ニューロンは情報を伝えるのが仕事です。
情報を伝える時、ニューロン内に電流が流れます。(脳の中の電流の状態がわかるのが、脳波で、ある瞬間に脳波の異常がみられる場合、その特徴によって病気が判ります)

 

電流は細胞の端まで来た時、シナプス(次の細胞のつなぎ目のところ)では電流に応じて物質が放出され、次の細胞に受け取られ、情報が電流として流れ・・・と、いうことを繰り返し情報が伝わります。

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こうしてひとつのネットワークが完成し、これが神経回路と呼ばれるもので、ひとつの記憶になる、と考えられています。

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更に、1つの神経細胞は他の多くの細胞ともシナプスを作ることができるので、いくつものネットワークを作ることができるので、記憶の容量は無限大であると言えます。

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それに対して、こうしたネットワークに関与しなかった細胞はどんどん滅んで行きます。
赤ちゃんが誕生してから、こうした過程で細胞が減少して140億個が残ると考えられています。

 

そして、20歳になるともう一度、神経細胞が滅ぶスイッチが入り、先に触れたように1日10万個ずつ細胞は死んでゆくので、20歳になる前にたくさんの事を記憶するなどして、多くのネットワークを構築すれば、それらの細胞は滅びることなくずっと生き続けると考えられています。

 

つまり、幼少期から20歳までに、できるだけ多くのネットワークを脳内に作る(記憶・学習する)ことは、晩年に強く影響すると言っても過言ではありません。

 

◆神経ネットワークの異常

このように、ネットワークがあれば神経細胞は生き残るのですが、ところが、病気など何等かの原因によってネットワークに関与している細胞が死んでしまうケースがあります。

ネットワーク内の1つの細胞が壊れる(脱落する)と、ネットワークは壊れ完全に消滅して行き、これを神経変性疾患と呼び、例えば、アルツハイマー病やパーキンソン病、ハンチントン病やALSなど。

 

ネットワークが消滅すれば、そこに保持された記憶も失われる、ということになります。

 

更には、神経細胞が脱落する訳ではないものの、正常に機能しない(不全状態にある)疾患が神経精神疾患で、例えば、統合失調症、うつ病、発達障害、などがあり、ネットワーク全体がうまく働かない状態になります。

 

壊れてしまった細胞(脱落)を元に戻すことは出来ません。しかし、働きが悪くなった細胞(不全状態)をよくする可能性はあり、薬物療法で精神疾患では多くの薬物が使われています。

 

それに対して、変性疾患は薬物で治療するのはなかなか難しいことです。ただ、精神疾患で用いられる様々な薬物が、単独でもやっかいな作用を神経細胞に与えることが判って来ています(副作用)ので、薬物をうまく使うことはとても重要です。

 

◆シナプスにおけるシグナル伝達

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細胞と細胞のつなぎ目のところ(シナプス)をみると、流れて来た電流に応じて伝達物質が放出され、次の細胞のレセプター(受容体)で受け取られ、また電流として流れて行きます。

つまり、

電流が流れる

  ↓

伝達物質が放出される

  ↓

物質が受け取られ

  ↓

電流が流れる

と、神経細胞同士のあいだで情報が伝達されて行き、放出される物質を「神経伝達物質」と呼びます。

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◆代表的な脳内神経伝達物質

(クリックで拡大できますsearch)
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米田先生が研究を続けて来られた「アミノ酸」で、「グルタミン酸」と呼ばれる物質は、脳を興奮させるアミノ酸です。

ところが長い間、グルタミン酸が脳を興奮させるアミノ酸であることが判りませんでした。何故かと言うと、グルタミン酸は「昆布の旨み」で、それがヒトの脳の中で、脳内伝達物質だとはなかなか考えられなかったので、50年以上のあいだグルタミン酸は無視されて来ました。

 

それに対して、「ギャバ」というアミノ酸は早くから注目されていました。脳の興奮を抑制するアミノ酸として知られており、ギャバを上手く利用することで睡眠薬のようなものが沢山つくられています。

 

眠れない時に「ギャバ」の活性を強くすると眠り易くなる、という睡眠薬があります。

 

更に、アセチルコリンという物質も脳の中で伝達物質として使われており、アルツハイマー病の治療に使われている伝達物質のターゲットです。

アルツハイマー病の患者さんの脳を死後に調べる(剖検)と、アセチルコリン濃度がある特定の場所で減少しており、それが創薬開発に繋がり発売されております。

 

◆アミノ酸による脳内シグナル

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アミノ酸は、グルタミン酸が興奮性のシグナルをもっており、ギャバが抑制性のシグナルをもっています。

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正常なヒトの脳内では、興奮性と抑制性が上手にバランスがとれており、夜になると抑制性が強くなり眠ることができ、朝になるとグルタミン酸の興奮性のシグナルが強くなって目が覚めます。

 

このように脳の働きは決められていますが、それがうまく機能しないケースのひとつが「認知症」と呼ばれる状態です。

 

(つづく)

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ここまで「脳とその機能」について、後半の話がより理解できるよう基本的な解説があり、いよいよこのあと認知機能障害(認知症)について展開。

 

更には、米田先生の研究における認知症の予防・治療の可能性について、怒涛の如く熱のはいった講演が続きます。

ご期待ください。

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